58歳からの人生整理帳。親の介護、相続、実家じまい。すべてはつながっている。ある元会社員の記録、と書かれた記事のアイキャッチ用表紙画像。

退職・失業手当・転職

親の介護で58歳早期退職。実家へ戻った私が相続・実家じまいまで経験したこと

こんにちは。人生整理ノート管理人の「えいじ」です。

50代後半で早期退職し、両親の介護から相続、実家売却、住み替えまでを経験した私が、実体験をもとに書いています。

親の介護をきっかけに、会社を早期退職するかどうか。

これは、かなり重い悩みですよね。

「親のそばにいたい」
「何かあったとき、すぐ動ける場所にいたい」
「でも仕事を辞めて本当に生活できるのか」
「定年まであと少しなのに、ここで辞めて後悔しないのか」

こういう気持ちが、頭の中で何度も行ったり来たりすると思います。

私自身もそうでした。

親の介護をきっかけに、私は58歳で早期退職しました。

定年まであと2年というタイミングでした。

普通に考えれば、「あと少しだから頑張ればいい」という時期です。自分でもそう思わなかったわけじゃありません。

でも、父が入院して、母の体が少しずつ弱っていくのを遠くから見ていると、「このまま東京で働き続けて、もし福岡で何かあったら、きっと後悔する」という気持ちがどんどん大きくなっていきました。

正直に言えば、親の介護だけが理由ではありません。

仕事を辞めたい気持ちもありました。

長年会社員として働いてきて、体力的にも気持ち的にも、そろそろ限界に近いものを感じていました。そこに母の体調不安が重なり、「このままの働き方を続けるのは、もう難しいかもしれない」と考えるようになったんです。

この記事では、58歳で早期退職し、東京から福岡の実家へ戻ってからの経験を、まず全体の流れとして書いていきます。

父の相続、母の介護と看取り、実家売却、マンション購入、フルリフォーム、失業手当、転職。ひと通りの経験をしてきました。

細かい手続きや具体的な方法は、今後の記事でひとつずつ書いていく予定です。介護まわりについては、親の介護で最初に相談した窓口介護認定の申請の流れについても別記事で整理しています。

また、50代後半で早期退職を考えた理由については、50代後半で早期退職した理由でも、もう少し詳しく書いています。

今回は「人生整理ノート」の最初の記事として、私がどんな経験をしてきたか、その全体像をお伝えします。

同じように、親の介護や早期退職、実家へのUターン、相続、実家じまいで悩んでいる方に、「こういう人もいるんだな」と思ってもらえたらうれしいです。

そしてできれば、私の失敗や反省も含めて、あなたが自分の判断をするときの材料にしてもらえたらと思います。

早期退職、親の介護、単独相続、実家売却、人生の再出発が矢印で循環するよう描かれた、人生整理の全体フロー図。個別の問題ではなく、すべてが一連の「人生の整理」であるというメッセージを掲載。

親の介護を理由に早期退職する前に、まず考えてほしいこと

親の介護で早期退職を考えるとき、気持ちだけで判断すると後から苦しくなることがあります。

親のそばに行きたい気持ちは、とても自然です。私もそうでした。

ただ、会社を辞めるということは、収入、住む場所、配偶者との関係、退職後の働き方、自分自身の老後まで一気に変わるということです。

親の介護は大切です。でも、あなた自身の生活が壊れてしまうと、介護を続けることも難しくなります。

だからこそ、退職届を出す前に、最低でも次のことは考えておいたほうがいいと思います。

  • 親の状態は、今すぐ同居やUターンが必要な段階なのか
  • 地域包括支援センターやケアマネージャーに相談しているか
  • 介護認定や介護サービスの見直しで、家族の負担を減らせないか
  • 会社で転勤、休職、介護休業、勤務調整などの選択肢がないか
  • 退職後の生活費を何ヶ月、または何年分見込めるか
  • 配偶者やきょうだいと、本音で話し合えているか
  • 実家を将来どうするのか、売るのか残すのか考えているか
  • 退職後に再就職するつもりがあるのか、働き方をどう変えるのか

私の場合は、福岡への転勤希望を長く出していました。でも叶いませんでした。

最終的には早期退職を選びましたが、今振り返ると、もっと早い段階で家族と話しておけばよかったこともあります。特に妻との話し合いは、完全に足りていませんでした。

親の介護で早期退職することが、良い悪いという話ではありません。

大事なのは、「辞めるしかない」と思い込む前に、ほかの選択肢も見たうえで決めることかなと思います。

親の介護をきっかけに、58歳で早期退職を決めた理由

母の心臓病と、5年間の転勤希望

早期退職を考えるようになった一番のきっかけは、母の体調でした。

母は心臓病を抱えていて、年齢とともにだんだん弱っていきました。元気な頃は1日に何十キロも歩くほど散歩が好きな人でした。

それが、ある日を境に突然変わったというよりも、少しずつ、少しずつ、今まで普通にできていたことが難しくなっていく。そういう感じです。

電話では元気そうに話していても、実際に会うと「あれ、前より動きがゆっくりになったな」と感じることがあります。

高齢の親は、子どもに心配をかけたくなくて、本当のしんどさを言わないこともあります。私の母も、弱っているところをあまり見せたがらないタイプでした。

その様子を見ていると、東京で仕事をしている自分が、遠くから親の老いを見ているような感覚になっていきました。

当時、私は横浜で会社員として働いていました。お客様先へ出向いて機械を点検したり、故障対応をしたり、次の機種への入れ替えを提案したりする仕事です。39年と長く続けてきた仕事でしたし、責任もありました。

長く続けた仕事なので、簡単に投げ出したいと思っていたわけではありません。

ただ、母のことが気になり始めてからは、退職の5年ほど前から会社に福岡への転勤希望を出し続けていました。

福岡へ転勤できれば、仕事を続けながら実家にも近くいられる。収入も維持できるし、親の近くにもいられる。自分にとっては、それが一番いい形だと思っていました。

親の介護で早期退職するか迷っている方も、いきなり退職だけを考える必要はないと思います。

転勤、配置転換、介護休業、有給休暇の使い方、在宅勤務の可否。会社によって制度や対応は違いますが、辞める前に確認できることはあります。

ただ、その希望は叶いませんでした。会社にも会社の事情があります。自分の希望だけで人事が動くわけではないことも分かっています。

でも、その間にも時間は過ぎていきました。

親の老いは、こちらの都合を待ってはくれません。

「定年まであと2年」でも退職を選んだ

気がつくと、定年まであと2年ほどというところまで来ていました。

「あと2年なら頑張ればいい」と思うのが普通かもしれません。自分もそう考えなかったわけではありません。

定年まで働けば、収入面ではそのほうが安定します。退職金や年金のことを考えても、あと少し残る選択はかなり大きいです。

でも、その2年の間に母に何かあったら、と思うと、どうしても踏み切れない気持ちがありました。

東京と福岡の距離は、思っている以上に大きいです。

電話で様子を聞くことはできる。必要があれば帰省もできる。病院の話も、書類の話も、電話で聞くことはできます。

でも、日常的にそばにいることはできない。

この「すぐ動けない」という感覚が、じわじわ効いてくるんですよね。

定年まで残り2年の安定した収入と、遠くで弱る親への後悔および自分自身の働き方の疲れが天秤に乗せられ、葛藤する様子を描いた天秤の図解イラスト。親のためだけでなく、自分の人生を見直す決断でもあったとの記載あり。

実家は60年以上経つ古い家で、大雨が降ると庭が冠水することもありました。親の体調が不安定になってくると、その距離がだんだん重く感じるようになります。

親本人の体調だけでなく、家の管理も問題になります。

雨漏りはないか。庭は荒れていないか。台風のときに大丈夫か。古い家に高齢の親が暮らしていると、心配することが増えていきます。

何度も考えました。

「もし今、何かあったらどうするのか」
「自分は本当にこのままでいいのか」
「定年までの2年と、親のそばに戻ることのどちらを優先するのか」

そして最終的に、定年まで待たずに退職することを選びました。

今思えば、かなり大きな決断です。でもそのときの私には、残り2年の安定より、母の近くに戻ることのほうが大事でした。

介護だけじゃない、仕事を辞めたい気持ちもあった

ここは正直に書いておきたいのですが、退職の理由は親の介護だけではありません。

仕事を辞めたい気持ちもありました。

長く会社員をやっていると、体力的にも気持ち的にも疲れてきます。

顧客対応、数字、社内の人間関係、これからの働き方。いろいろなものが積み重なって、「このまま定年まで働くのか」と思うことが増えていました。

私の場合、母の介護は退職を決める大きな理由でした。同時に、自分の働き方を見直すきっかけでもありました。

ここをきれいごとにしてしまうと、同じように悩んでいる人には届かない気がします。

「親のために辞めた」と言い切れれば聞こえはいいかもしれません。でも実際には、自分の疲れもあった。仕事への気持ちが切れかけていた部分もあった。

きれいな理由だけではない。

親のためでもあり、自分のためでもあった。今振り返ると、そういう決断だったと思います。

親の介護で早期退職を考えるときは、自分の本音も一度見たほうがいいです。

本当に介護だけが理由なのか。仕事から離れたい気持ちもあるのか。収入が減っても受け入れられるのか。退職後に何をしたいのか。

そこをあいまいにしたまま辞めると、後から「こんなはずじゃなかった」と感じるかもしれません。

親の介護で早期退職してよかったこと、苦しかったこと

よかったのは、親の近くで動けるようになったこと

早期退職してよかったことを一つ挙げるなら、やはり親の近くで動けるようになったことです。

病院の付き添い、役所の手続き、ケアマネージャーさんとの相談、家の片付け。こうしたことは、近くにいるほうが圧倒的に動きやすいです。

遠距離介護でもできることはあります。

電話、見守りサービス、きょうだいとの分担、ケアマネージャーとの連絡。今はいろいろな方法があります。

ただ、親の状態が変わってくると、「今日ちょっと見に行く」「先生に直接話を聞く」「役所に行って確認する」という動きが必要になる場面も出てきます。

私の場合、実家へ戻ったことで、その不安はかなり減りました。

苦しかったのは、収入と家族関係が一気に変わったこと

一方で、苦しかったこともあります。

まず収入です。

会社員を辞めると、毎月決まって入ってくる給料がなくなります。頭では分かっていても、実際にその状態になると不安は大きいです。

退職金や貯金があっても、「これがいつまで持つのか」と考えるようになります。介護にお金がかかるかもしれない。実家の修繕が必要になるかもしれない。自分の住まいも考えなければいけない。

お金の不安は、気持ちの余裕を削ります。

そしてもう一つ大きかったのが、妻との関係です。

自分では親のために動いたつもりでも、配偶者から見れば、生活を大きく変える話です。ここを軽く考えてはいけませんでした。

親の介護で早期退職するなら、親のことだけでなく、今の家族の生活も同じくらい大事に考える必要があります。

東京から福岡の実家へ戻って感じたこと

「戻ってこられた」という安心感

退職して東京から福岡に戻ったとき、一番大きかったのは安心感でした。

ようやく戻ってこられた。親の近くにいられる。何かあったとき、すぐ動ける。

東京にいる間は、実家から電話があると少し身構えるようなところがありました。

母の体調のことかもしれない。病院のことかもしれない。何か手続きが必要なのかもしれない。

遠くにいると、すぐに動けない不安がずっとありました。

電話が鳴るたびに、少し胸がざわつく。そんな感じです。

福岡に戻ってからは、少なくともその物理的な距離の不安はなくなりました。これは私にとって、思った以上に大きな変化でした。

親の家にすぐ行ける。病院にも付き添える。役所にも自分で行ける。小さなことのようですが、遠方にいるとこの一つひとつが大きな壁になります。

一方で、妻との関係が壊れかけた

ただ、すべてがうまくいったわけではありません。

私が実家へ戻ることで、妻との関係は悪くなりました。しばらく別居生活になり、離婚届けにハンコを押すまでいきました。

ここは今振り返っても、大きな反省点です。

自分としては、親のことを考えて動いたつもりでした。でも妻から見れば、私が独断で勝手に決めたように感じたのだと思います。

住む場所、生活費、夫婦の時間、将来の計画。全部が変わります。

それを十分に話し合えていなかった。

親の介護は大切です。でも結婚している以上、自分だけの問題ではありません。親のためにした決断でも、家庭を壊してしまっては、また別の問題が生まれます。

介護の話は、つい親本人を中心に考えてしまいます。

でも実際には、配偶者、子ども、兄弟、自分の仕事、家計、住まい、全部につながります。

特に早期退職は、夫婦の生活設計を変えます。収入が減るだけではなく、住む場所や役割分担も変わります。

「親が大変だから分かってくれるはず」と思い込むのは危ないです。言葉にして、何度も話す必要がありました。

結果的には、母が亡くなった後、妻との関係は元に戻りました。ただそこに至るまでには、かなりの時間とすれ違いがありました。

もし今、親の介護のために退職するか実家に戻るかで悩んでいる方がいるなら、配偶者や家族とよく話し合うことを、まず真剣に考えてほしいと思います。

退職するかどうかの前に、「どこに住むのか」「生活費はどうするのか」「いつまで続ける想定なのか」「介護が終わった後どうするのか」を話しておく。

面倒でも、そこを避けないほうがいいです。

左側に実家に戻って安心感を得ようとする男性、右側にすれ違いにより別居生活と離婚の危機に直面した男女のイラスト。住む場所、お金、将来について配偶者との徹底的な話し合いが絶対に不可欠であるというメッセージを掲載。

実家に戻ってから知った、介護の現実

体力より「手続きと判断の連続」がきつかった

実家に戻ってから感じたのは、介護は体力だけの問題ではないということです。

通院の付き添い、日常の手伝い。それはもちろん大変です。

でも、それと同じくらい大変だったのが、手続きと判断でした。

介護認定は要介護1をすでに持っていましたが、母の状態を見ると介護度を上げたほうがいいのではと感じ始めました。

でも、どう申請すればいいのか。どこに相談すればいいのか。地域包括支援センターとは何なのか。

言葉としては聞いたことがあっても、実際に自分が動くとなると、分からないことがどんどん出てきます。

なお、介護保険サービスを利用するには、まず市区町村で要介護認定(要支援認定を含む)の申請を行う流れになります(出典:厚生労働省「介護保険の解説|サービス利用までの流れ」)。

私は行政書士試験に合格しており、ファイナンシャル・プランニング技能検定2級も持っています。制度や手続きについては、ある程度は理解できるほうだと思っていました。

でも、実際に親の介護が目の前に来ると、資格の勉強とはまったく違います。

試験には正解がありますが、現実の介護には正解がないことも多いです。

親の状態、家族の状況、住んでいる地域、仕事の有無、経済状況。全部が絡んできます。

たとえば、介護度を上げたほうがいいのか。施設を考えるべきなのか。まだ家で見られるのか。本人の希望をどこまで尊重するのか。家族の限界をどこで認めるのか。

こういう判断に、きれいな正解はありません。

結局、ケアマネージャーさんや担当の先生に話を聞きながら、ひとつずつ確認して進めていくしかありませんでした。

親が「大丈夫」と言っても、家族が見て違和感を覚えたら相談する

介護で難しいのは、本人が「大丈夫」と言うことです。

もちろん、親の気持ちは大事です。できるだけ自分の家で暮らしたい。子どもに迷惑をかけたくない。そう思うのは自然なことです。

ただ、本人の「大丈夫」と、実際の生活が本当に大丈夫かは別です。

歩く速度が遅くなった。風呂に入る回数が減った。薬の管理があやしくなった。火の元が心配になった。外出を嫌がるようになった。

こうした小さな変化は、介護の見直しを考えるサインかもしれません。

親の介護で早期退職を考える前に、まずは介護サービスで負担を減らせないかを相談するのも大切です。相談先や最初の動き方は、親の介護で最初に相談した窓口にまとめています。

退職は大きな決断です。

その前に、使える制度や支援がないかを確認するだけでも、選択肢は広がります。

家族だけで抱え込まないことの大切さ

通院や付き添いなどの「想像していた介護」と、正解のない決断と複雑な手続きが連続する「現実の介護」を比較したイラスト。行政や専門家に頼り、家族だけで抱え込まないことの重要性を説いています。

介護で強く感じたのは、家族だけで抱え込まないほうがいいということです。

役所、地域包括支援センター、ケアマネジャー、病院、介護サービスの方々。相談できるところは、思っているよりあります。

ただ、こちらから動かないと情報は入ってきません。

介護で疲れているときは、調べる気力もなくなります。でも知らないままだと、使える制度や支援にたどり着けないこともある。

分からないことはひとつずつ聞く。それだけでも、少し気持ちが軽くなります。

私も最初から分かっていたわけではありません。

聞きながら、調べながら、間違えないように確認しながら進めました。

介護の相談は、弱音ではないです。

むしろ早めに相談したほうが、親にも家族にも無理の少ない形を作りやすいと思います。

父が亡くなり、相続を一人で進めることになった

行政書士への相談と「30万円」という現実

実家に戻って2ヶ月後、父が亡くなりました。

親が亡くなると、悲しむ時間も必要です。でも実際には、その直後からさまざまな手続きが始まります。

役所での手続き、年金、保険、銀行、不動産、相続書類。やることが本当に多いです。

最初に行政書士へ相談しました。すると、全部任せると手続き費用が30万円ほどかかると言われました。

専門家にお願いすることの価値は理解しています。書類作成や手続きに慣れた方に任せれば、自分の負担はかなり減ります。

特に仕事をしながら相続手続きを進める人、相続人同士の関係が複雑な人、不動産が複数ある人、遠方の役所や法務局に何度も行けない人は、専門家に頼む意味は大きいと思います。

ただ、そのときの私は仕事をしていませんでした。収入面の不安もあるし、時間はある。それなら自分でやってみようと思いました。

この判断は、誰にでもおすすめできるものではありません。

私の場合は、時間があり、家族が協力的で、ある程度制度を調べることに抵抗がなかったから進められました。

父の相続手続きについては、父の相続手続きを自分でやった体験談でも、より詳しく整理しています。

時間があったから、なんとかなった

相続手続きは、調べれば自分でできる部分もあります。実際に自分で進めました。

ただし、簡単だったとは言えません。

行政書士の資格があったので知識がまったくないわけではありませんでしたが、資格の勉強と実際の手続きは別物です。

必要な書類を調べる。役所に取りに行く。内容を確認する。また不足書類が出てくる。この繰り返しでした。

戸籍、除籍、改製原戸籍、固定資産関係の書類など、初めて見る言葉も多く出てきます。

不動産の相続登記では、相続人の範囲や法定相続分を確認するために、戸除籍謄本などの収集が必要になることがあります(出典:法務省「相続人申告登記について」)。

また、相続登記は2024年4月1日から義務化されています。不動産を相続で取得したことを知った日から原則3年以内に相続登記をする必要があり、正当な理由なく申請しない場合は過料の対象になる可能性があります。最新の情報は、法務省や法務局で確認してください。

時間があったからできた、というのが正直なところです。

仕事をしながらこれをこなすのは、かなり大変だと思います。平日に休みを取らなければいけない。実家が遠方なら移動だけでも一苦労です。

「自分でできる」というのは、時間がある場合の話だと感じました。

親の介護で早期退職すると、こうした手続きに動きやすくなる面はあります。

ただ、そのぶん収入は止まります。時間を取るか、収入を維持するか。このバランスは、本当に悩ましいところです。

家族が任せてくれたことの大きさ

父の相続では、相続人は母と妹でした。

二人がすべて私に任せてくれました。これは本当に助かりました。

相続は書類の問題だけではなく、家族関係の問題でもあります。

誰が何を相続するか、実家をどうするか、預金をどう分けるか。お金や不動産が絡むと、身内でも揉める可能性があります。

任せてくれた二人のおかげで、手続きを進めやすかった。ここは本当にありがたかったです。

逆に言うと、家族の理解がないまま一人で進めると、後から問題になることもあります。

「勝手に決めた」
「そんな話は聞いていない」
「自分の取り分はどうなるのか」

こうしたズレが起きると、手続きそのものよりも家族関係のほうがしんどくなります。

介護も相続も、ひとりで背負いすぎないことが大切です。

自分で相続手続きを進める3つの条件として、平日に動ける豊かな時間、揉めない家族の協力、制度を理解する基礎知識が交差したベン図。仕事をしながら1人で抱え込むのは危険であると注意喚起しています。

母の介護が難しくなり、実家売却を考えるようになった

少しずつ動けなくなっていく姿を見ていた

父の相続手続きが終わった後も、母の介護は続きました。

最初は何とか実家で生活できていても、時間が経つにつれ、動くことがだんだん難しくなっていきました。

歩くこと、立ち上がること、家の中を移動すること。

昨日までできていたことが、少しずつできなくなっていく。

「このままでは将来厳しくなるかもしれない」という感覚が、少しずつ積み重なっていきました。

実家での生活を続けることが本当に母にとっていいのか。

自分ひとりでこの先も介護を続けていけるのか。

そのことを考える時間が増えていきました。

介護は、最初から限界が来るわけではありません。

少しずつ、できないことが増えていきます。だからこそ、判断が遅れやすいです。

「まだ何とかなる」
「もう少し家で見られる」
「施設はまだ早い」

そう考えているうちに、介護する側の体力や気力が削られていくこともあります。

施設に入ってもらうかどうか、かなり悩んだ

このまま実家で最後まで介護を続けるのか、介護施設に入ってもらったほうがいいのか。これはかなり悩みました。

「できるなら家で見てあげたい」
「住み慣れた実家のほうが母も安心するのではないか」

そういう気持ちはありました。

一方で、現実的な問題もあります。

母の体が弱る中で、実家での介護がどこまでできるか。自分自身も無職のまま、いつまで続けられるか。収入のこと、体力のこと、将来のこと。

介護は気持ちだけでは続けられません。

介護する側の生活が成り立たなければ、長く続けることは難しい。ここは本当に悩みどころでした。

親を施設に入れることに、罪悪感を持つ人もいると思います。

私も簡単に割り切れたわけではありません。

ただ、施設を考えることは、親を見捨てることではありません。本人にとって安全な環境を整えることでもありますし、介護する家族が倒れないための選択でもあります。

実家での介護に限界を感じたときの考え方は、実家での介護に限界を感じた私の判断でも書いています。

施設の資金として、実家売却を決断した

最終的に、母を介護施設に入れたほうがよいと判断しました。そして、その資金として実家を売却することを決めました。

実家を売るという判断は、簡単ではありませんでした。

ただの建物ではありません。親が暮らしてきた場所、自分が戻ってきた場所、思い出のある場所。

だから決めるまでにかなり迷いました。

でも、将来の介護を考えたとき、実家を持ち続けることより、母が安心して過ごせる環境を整えることを優先したほうがいいと思いました。

また自分自身も、無職のまま介護を続けることは限界に近づいていました。

実家売却は、母のための決断であり、自分の生活を立て直すための決断でもありました。

今振り返っても楽な判断ではありませんでしたが、あのときはそれが現実的に必要な選択でした。

介護施設の費用と実家売却の関係については、介護施設の費用で実家売却を決めた理由にもまとめています。

実家売却で印象に残っていること

妹が協力してくれたことで、揉めずに進められた

実家売却で一番ありがたかったのは、妹が協力してくれたことです。

相続分について妹が譲ってくれたこともあり、身内の揉め事はありませんでした。

相続や実家売却で一番しんどいのは、手続きそのものより、家族内で揉めることかもしれません。

「売る」
「売らない」
「残したい」
「管理できない」
「思い出がある」
「お金が必要」

これだけでも意見が分かれることがあります。

誰が管理するか、売却代金をどうするか、片付けを誰がするか。話し合うことはたくさんあります。

妹が協力的だったことに、本当に助けられました。

もし家族で意見が分かれていたら、売却はもっと大変だったと思います。

実家売却は、不動産の問題である前に、家族の感情の問題でもあります。

だからこそ、早めに話すことが大事です。売ると決めてから話すのではなく、「将来この家をどうするか」を元気なうちから少しずつ話しておくほうが、あとで揉めにくいと思います。

3,000万円で売り出したが、最終的に価格を下げることになった

実家の売却は、思っていたより簡単ではありませんでした。

当初は3,000万円で売り出しました。でも、なかなか買い手が決まらない。

不動産は、こちらが思う価格で売れるとは限りません。

立地、建物の状態、買い手のニーズ、タイミング、周辺相場。いろいろな要素で価格は決まります。

結局、2,000万円くらいまで下げることになりました。正直、残念でした。

思い入れがある家ほど「これくらいの価値はあるはず」と思いたくなります。でも市場はシビアです。

売れずに長く抱え続けることもリスクで、空き家として持ち続ければ管理にも費用がかかります。固定資産税や草木の管理、台風や雨漏りの心配もあります。

どこかで現実を受け入れる必要がありました。

実家売却は、気持ちの整理と現実の判断を同時に求められる作業でした。

実家売却の流れについては、実家売却の流れを実体験で解説でも詳しく書いています。

実家売却の感情と現実のギャップを示した図。家への思い入れによる売り出し価格3000万円に対し、市場評価による実際の成約価格が2000万円となった対比。価格の現実を受け入れ、会社を比較して決めるべきと推奨。

不動産会社選びの反省点

実家売却のとき、私は5社ほど見積もりを取りました。

不動産会社によって、査定額も説明の仕方も違います。最終的に地場の不動産会社2社に絞ってお願いしました。

地場の会社には地元に詳しいという強みがあります。

ただ後から考えると、最初から全国区の大手も1社入れておけばよかったと思っています。実際、途中で大手を1社加えました。

販売力、広告の出し方、顧客層、担当者の動き方は会社によって違います。

どちらが絶対にいいという話ではありませんが、選択肢を広げて比較することは大事です。

査定額が高い会社が、必ずしも良い会社とは限りません。

高く売り出しても、買い手がつかなければ時間だけが過ぎます。逆に、安く売り急ぎすぎるのも避けたいところです。

担当者が、なぜその査定額なのかを説明してくれるか。売れない場合の次の動きまで話してくれるか。こちらの事情を聞いてくれるか。

そういう点も見たほうがいいと思います。

実家売却は金額も大きく、人生で何度も経験することではありません。任せきりにせず、自分でも比較して質問して、納得して決めることが必要だと感じました。

不動産会社選びについては、実家売却の不動産会社の選び方でも、反省点を含めて整理しています。

実家の片付けも、売却前に大きな負担になった

実家売却で見落としがちなのが、家の中の片付けです。

長く住んだ家には、とにかく物があります。

衣類、食器、布団、工具、書類、写真、贈答品、家具、家電。ひとつずつ見ていると、なかなか進みません。

ただ捨てればいいというものでもありません。思い出の品もありますし、重要な書類が紛れていることもあります。

売却すると決めたら、価格や不動産会社だけでなく、片付けも早めに考えたほうがいいです。

売買契約が決まってから一気に片付けようとすると、かなりきついです。体力も時間も必要になります。

実家売却前の荷物整理については、実家売却前の片付けは何をする?でも詳しく書いています。

実家売却後、マンション購入とフルリフォームへ

母は介護施設に入ってすぐ亡くなりました。そのため、介護施設への資金が手元に残ることになりました。

それまでは「母が施設にいる間は賃貸で住もう」と考えていました。

残った売却資金について妹とも相談したところ、全部自分が使っていいと言ってくれたので、妻とも話し合ってマンションを購入することにしました。

そして購入したマンションをフルリフォームしました。

間取り、床、壁、キッチン、浴室、収納、照明、コンセントの位置。決めることが本当に多かったです。

楽しい部分もあれば、疲れる部分もあります。お金もかかります。

ただ、実家じまいの後に自分の住まいを整えることは、私にとって大きな区切りになりました。

親の介護、相続、実家売却。そこで終わりではありません。

その後に、自分はどこで暮らすのか。誰と暮らすのか。どんな働き方をするのか。老後をどう迎えるのか。

そこまで含めて考える必要がありました。

私にとっての「人生整理」は、親のことを片付けるだけではありませんでした。

親を見送った後に、自分の人生をどう立て直すか。そこまで続くものでした。

中古マンションのリフォーム費用については、中古マンションのフルリフォーム費用はいくらかかった?でも、実際の費用感をまとめています。

早期退職後はハローワークに通い、失業手当を受けた

早期退職後は、しばらくハローワークにも通いました。

長く会社員を続けてきた人間が退職後にハローワークへ行くのは、少し不思議な感覚です。

今まで会社に所属していた自分が、求職者として手続きをする。雇用保険の説明を聞く。認定日に行く。求人を確認する。

頭では分かっていても、実際にその立場になるといろいろ考えるものです。

失業手当は約5ヶ月間受けました。その間の生活の支えになりましたが、いつまでもそれだけで暮らせるわけではありません。

雇用保険の基本手当は、受給できる期間や条件が人によって異なります。制度内容は変わる場合もあるため、実際に手続きをする際は、住んでいる地域を管轄するハローワークや公式情報で確認してください。

退職後のお金、次の仕事、自分の年齢。考えることはたくさんありました。

特に50代後半で早期退職すると、「次にどんな仕事ができるのか」という不安が出てきます。

若い頃のように、条件を選び放題というわけにはいきません。体力面もあります。収入も以前と同じとは限りません。

その後、転職も2度経験しました。

50代後半からの転職は、若い頃の転職とは違います。選択肢は限られるし、条件も簡単ではない。体力面も考えなければいけない。

でも、まったく道がないわけでもありません。

自分にできること、やりたくないこと、必要な収入、家庭の状況。そういうものを現実的に見ながら、次の働き方を考えていきました。

早期退職は、会社を辞めた瞬間に終わる話ではありません。

むしろ辞めた後から、お金、仕事、住まい、人間関係の見直しが始まります。

親の介護で早期退職を考えている人に伝えたい判断基準

ここまで私の経験を書いてきましたが、親の介護で早期退職をするべきかどうかは、人によって違います。

私が退職したからといって、誰にでも早期退職をすすめるつもりはありません。

むしろ、勢いだけで辞めるのはかなり危ないと思っています。

退職前に考えておきたい判断基準を、私なりに整理すると次のようになります。

親の介護は本当に「自分が仕事を辞めないと回らない状態」なのか

まず考えたいのは、今の親の状態です。

通院の付き添いが必要なのか。日常生活にどの程度の介助が必要なのか。認知症の心配があるのか。転倒や火の元の不安があるのか。

そして、それを介護サービスや家族の分担で補えないのか。

いきなり早期退職を決める前に、地域包括支援センターやケアマネージャーに相談してみることは大切です。

介護認定の見直しで使えるサービスが変わることもあります。親の状態が変わったと感じたら、介護認定の申請の流れを確認しながら、早めに相談したほうがいいと思います。

退職後のお金を現実的に見ているか

次にお金です。

退職すると、毎月の給料がなくなります。

退職金、貯金、失業手当、年金までの期間、国民健康保険や税金、介護にかかる費用、実家の維持費。全部をざっくりでも見ておく必要があります。

「なんとかなる」と思いたい気持ちは分かります。

でも、退職後のお金は思った以上に気持ちに響きます。

親の介護をするにも、自分の生活が不安定だと続きません。

配偶者や兄弟と話し合えているか

親の介護は、親子だけの問題に見えます。

でも実際には、配偶者やきょうだいにも大きく影響します。

誰が介護するのか。誰がお金を出すのか。実家をどうするのか。施設に入るなら費用はどうするのか。相続のときにどう考えるのか。

ここをあいまいにすると、後で揉める可能性があります。

私の場合、妻との話し合いが足りず、関係が壊れかけました。

これは本当に反省しています。

親を大切にすることと、配偶者を置き去りにしないこと。この両方を考える必要がありました。

退職後の自分の人生も考えているか

最後に、自分の人生です。

親の介護は大切です。でも介護が終わった後も、自分の人生は続きます。

住まいはどうするのか。仕事はどうするのか。収入はどうするのか。夫婦関係をどう立て直すのか。健康をどう保つのか。

私の場合、親の介護、相続、実家売却、マンション購入、転職までが一気につながっていきました。

親の介護で早期退職するなら、介護中だけでなく、その後の人生まで少し見ておいたほうがいいです。

このブログでこれから書いていくこと

今後は、介護・相続・実家じまい・退職・転職のそれぞれについて、実際に経験したことを具体的に書いていく予定です。

介護が始まったときに何をしたのか。介護認定の申請で何に戸惑ったのか。役所や地域包括支援センターにどう相談したのか。

父が亡くなった後、どんな手続きをしたのか。相続を自分で進めて何が大変だったのか。

実家を売ると決めるまでに悩んだこと。不動産会社を選ぶときに感じたこと。

実家を片付けるときに困ったこと。売却価格を下げる判断をしたときの気持ち。

ハローワークに通ったこと。50代後半から2度転職したこと。

専門的な解説ではなく、実際に動いた人間の目線で書いていきたいと思っています。

制度の説明だけなら、公式サイトや専門家の情報のほうが正確です。

でも、実際にその場に立ったときに何に迷うのか、どこで気持ちが折れそうになるのか、どんな順番で問題がつながっていくのか。

そういう部分は、経験した人間だから書けることもあると思っています。

まとめ

実家じまいから人生の再出発までのプロセス。1段目「住まいの確保」、2段目「生活の支え(失業手当受給)」、3段目「働き方の再構築(50代後半からの転職)」を段階的に示した階段グラフのイラスト。

親の介護、早期退職、相続、実家じまい。

これらは別々の問題のように見えますが、実際に経験してみると全部つながっていました。

親の体調が悪くなる。介護が始まる。仕事をどうするか考える。実家に戻るか悩む。親を見送る。相続が始まる。実家をどうするか決める。自分の住まいを考える。退職後の仕事や収入を考える。

ひとつの出来事が次の出来事につながって、気がつくと大きな変化の中にいました。

親の介護で早期退職することは、悪い選択ではありません。

でも、簡単な選択でもありません。

親の近くにいられる安心感はあります。一方で、収入の不安、配偶者とのすれ違い、再就職の難しさ、相続や実家売却の負担も出てきます。

相続は時間があれば自分でも進められる部分があります。ただ、仕事をしていたり実家が遠方だったりするとかなり大変です。

介護や退職、実家売却の判断は、十分に話し合わないまま進めると家族との関係に大きなズレが生まれることもあります。私自身、その点は身をもって経験しました。

もし今、同じような状況にいるなら、ひとりで全部抱え込まなくていいと思います。

役所に聞く。地域包括支援センターに相談する。ケアマネージャーに話す。専門家に相談する。家族と話す。経験者の話を読む。

できることから少しずつ進めれば大丈夫です。

そして、退職するかどうかは最後に決めても遅くない場合があります。

まずは親の状態を整理する。使える制度を確認する。家族と話す。お金を見直す。会社で使える制度を調べる。

そのうえで、それでも「自分は戻りたい」「親のそばにいたい」と思うなら、その決断には意味があると思います。

私も、最初から全部分かっていたわけではありません。分からないことだらけの中で、ひとつずつ調べて動いて、失敗もしながら進めてきました。

このブログでは、そういうリアルな経験を正直に書いていきたいと思っています。

私の経験が、同じような状況にいるあなたにとって、少しでも手がかりになればうれしいです。

人生整理の3つの鉄則。1「自分ひとりで抱え込まない(専門家・制度を頼る)」、2「配偶者と必ず話し合う」、3「感情よりも現実を受け入れる(家の価値や老いを早めに直視する)」と記載されたチェックリスト型スライド。

※ご注意ください

この記事は、筆者自身の実体験や調べた内容をもとに書いています。介護、相続、不動産売却、失業手当などの制度や手続きは、時期・地域・家族構成・個別事情によって異なる場合があります。

特に、介護保険サービス、相続登記、雇用保険、税金、不動産売却に関する扱いは、制度改正や自治体、個別事情によって変わることがあります。

実際に手続きを進める際は、市区町村、年金事務所、法務局、税務署、ハローワーク、司法書士、税理士、行政書士、不動産会社などの専門機関にご確認ください。

この記事を書いた人

えいじ

58歳で早期退職し、両親の介護をきっかけに東京から福岡の実家へ戻りました。父母の看取り、単独相続、実家売却、マンション購入、フルリフォーム、失業手当受給、転職を経験。

このブログでは、元サラリーマンの実体験をもとに、50代後半からの人生整理を記録しています。

「この記録を残した人について」と題したプロフィール。名前は「えいじ」。58歳で早期退職後、親の介護、看取り、単独相続、実家売却から再就職・転職までを経験した経歴を紹介するイラストカード。

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