相続手続きは自分でできる?専門家に頼まなかった経験者が語る本当の手間と判断基準

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父の相続手続きを自分でやった体験談|行政書士に頼まず進めた私の記録

こんにちは。人生整理ノート管理人の「えいじ」です。

親が亡くなったあと、相続手続きを自分でやってみたいと思いブログを探して、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

相続手続きは自分でできるのか、それとも行政書士や司法書士に依頼したほうがいいのか、費用や必要書類、戸籍謄本の集め方、遺産分割協議書の書き方、法務局や銀行での手続きの流れなど、分からないことだらけで不安になりますよね。

私は2024年に父を亡くし、行政書士に頼まず自分で相続手続きを進めました。正直、簡単だったとは言いません。

でも、時間があり、家族の協力もあったので、なんとか自分の力でやり遂げることができました。

この記事では、実体験に加えて、あとから自分でも調べ直した制度や期限のルールも合わせてまとめています。

相続手続きは家族構成や財産の内容、不動産の有無によって必要な手続きがかなり変わるので、あくまで私のケースを軸にした一例として読んでもらえたらと思います。

この記事では、私が実際にどんな手続きをしたのか、役所や銀行、法務局に何度も足を運んだ体験、行政書士に頼まなかった理由、そして自分でやってみて分かった良かった点と大変だった点を、包み隠さずまとめていきます。

相続手続きを自分でやろうか迷っているあなたの、判断材料のひとつになればうれしいです。

☑ 記事のポイント

  • 1相続手続きを自分でやった場合に、実際どんな作業が発生するのか
  • 2相続登記や相続税申告など、押さえておきたい期限と費用の目安
  • 3戸籍集めや銀行手続きなど、特に大変だった実務のポイント
  • 4自分で相続手続きができるケースと、専門家に頼んだほうがいいケースの見分け方

父の相続が発生したときの状況

まずは、私が父の相続に直面したときの状況からお話しします。

相続手続きは、置かれている状況によって難易度がかなり変わってくるので、私のケースがどんな条件だったのか、先にお伝えしておきますね。

母の介護のため福岡へ戻った直後の出来事

私は2024年5月、母の介護のために57歳10ヶ月で東京から早期退職し、福岡の実家へ戻りました。

早期退職に至った背景は、別記事の50代後半で早期退職した理由でも整理しています。

そのとき母は実家で一人暮らしをしており、父は入院中でした。母の体調や実家の管理が気になって帰ってきたのですが、まさか帰郷してすぐに父の相続が発生するとは思ってもいませんでした。

帰郷して間もない2024年6月21日、父が亡くなりました。

悲しむ時間も欲しいところですが、現実には葬儀のあとも年金、銀行、役所、不動産、法務局といった手続きが次々と出てきます。

正直、ここまで多いとは思っていませんでした。

実家と土地が父名義だったこと

父の相続で大きかったのは、実家と土地が父名義だったことです。預貯金だけでなく、不動産の相続登記も必要になりました。

相続登記は2024年4月1日から申請が義務化されていて、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しなければいけません。

正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になる可能性があると知り、これはきちんと期限内に終わらせないとまずいなと感じていました(出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」)。

見落とせない法改正:不動産の相続登記義務化。2024年4月1日施行、期限は3年以内、罰則あり

後から知ったのですが、この義務化は2024年4月1日より前に発生した相続にもさかのぼって適用されるそうです。

すでに相続していることを知っていて、まだ登記していない不動産をお持ちの方は、原則として2027年3月31日までに相続登記を済ませる必要があるとのことなので、うちのように父名義の不動産が残っている方は、早めに動いたほうがいいと思います。

豆知識 :相続登記には登録免許税がかかり、原則として固定資産評価額の0.4%です。
ただし、一定の土地については免税措置があり、私が調べた時点(2026年7月時点)では適用期限が2027年3月31日までとされていました。
たとえば不動産の価額が100万円以下の土地の相続登記や、相続人がその土地の登記を受ける前に亡くなってしまった場合の中間の相続登記などが対象になるようです。
免税を受けるには申請書に根拠となる条文を書く必要があるので、詳しくは法務局や司法書士に確認したほうが確実だと思います。

ただし、不動産の相続は人によって条件がまったく違います。相続人の人数、不動産の数と名義、遺言の有無、家族関係によって必要な手続きは変わってきます。

私の場合は相続人が母、妹、私の3人で、家族間でもめていなかったことが、自分で進められた大きな理由でした。

もし家族でもめていたら、自分でやるのはかなり難しかったと思います。

相続後に実家を売るところまで考える場合は、実家売却の流れを実体験で解説した記事も参考になると思います。

相続人は母・妹・私の3人、家族の協力が支えになった

相続手続きを自分でやれるかどうかは、実は家族関係に大きく左右されます。

ここでは、私のケースでどう進んだのかをお伝えします。

私が手続きの中心になった経緯

父の相続人は、母、妹、私の3人でした。実際の手続きは、私が中心になって進めました。

母と妹が「任せる」と言ってくれたことは、本当に助かりました。

相続手続きで家族の意見が合わないと、それだけでかなり大変になると思います。

誰が何を相続するのか、印鑑証明を出してもらえるのか、遺産分割協議書に署名・押印してもらえるのか。

こうした部分で揉めると、自分で進めるのはかなり厳しくなります。

私の場合は母と妹が協力してくれて、印鑑証明なども快く用意してくれました。

揉めなかったからこそ自分で進められた

ポイント :相続手続きを自分でやる場合、必要書類を集めるだけなら時間をかければ何とかなります。
でも、相続人同士の話し合いがうまくいかないケースは別です。誰かが納得していない、印鑑を押してくれない、財産の分け方でもめている。
そうなると、専門家に入ってもらったほうがいいと思います。

私の場合は、母と妹が任せてくれて、揉めることなく進みました。ここが本当に大きかったです。

自分で相続手続きをやろうと考えている方は、まず家族の関係性がどうかを冷静に振り返ってみるといいかなと思います。

行政書士に相談して分かったこと

自分でやると決める前に、私は一度、行政書士に相談しています。その経緯もお話ししますね。

葬儀会社のパンフレットがきっかけ

行政書士に相談したきっかけは、葬儀会社からもらったパンフレットでした。

葬儀が終わると、相続手続きは行政書士に頼むとよい、というような案内資料をもらったんですよね。

父が亡くなった直後は、何から始めればいいのか分かりません。

役所に何を出すのか、銀行はどうするのか、不動産の名義変更はどうするのか、戸籍はどこまで集めるのか。

考えることが多すぎて、最初は専門家に頼んだほうがいいのかなと素直に思いました。

全部任せると30万円ほどと言われた現実

実際に行政書士に相談すると、相続手続きを全部任せると30万円ほどかかると言われました。

役所関係も含めてすべてやってくれる内容だったので、お願いすればかなり楽だったと思います。

自分で役所を回る必要も減りますし、書類の書き方で悩むことも少なくなるはずです。

ただ、30万円という金額は、当時無職だった私にとって、簡単に出せる金額ではありませんでした。

この見積もりを聞いたことが、自分でやってみようと考える大きなきっかけになりました。

あとから知ったのですが、行政書士がどこまで対応できるかには、実は業務の範囲があるようです。

戸籍収集や遺産分割協議書の作成といった書類まわりは行政書士でも対応できますが、不動産登記の申請代理は司法書士や弁護士の業務、相続税申告は税理士の業務、相続人同士の交渉や紛争対応は弁護士の業務、というように分かれているとのことでした。

士業ごとの役割の違いについては、後半の「専門家に頼んだほうが安心なケース」でもう少し詳しく触れます。

行政書士に相談してみて感じたのは、値段の高い安いだけで判断するものでもないな、ということです。

役所回りや戸籍集めをすべて代行してもらえるのは、時間がない人にとって本当に大きな価値があります。

書類に不備があれば作り直し、また役所に足を運ぶ、という手間を丸ごと引き受けてもらえるわけですから、忙しい方や不慣れな方にとっては十分に見合う金額だと思います。

私は、たまたま時間があり、費用を抑えたい事情が重なっただけで、自分でやることを誰にでもおすすめしたいわけではありません。

それでも自分でやろうと思った理由

30万円という金額を聞いても、すぐに「自分でやろう」と決めたわけではありません。

私が自分で相続手続きを進めることにした理由は、いくつか重なっています。

相続手続きを自力で完遂できた3つの理由:十分な時間、良好な家族関係、単純な権利関係

無職で時間があったこと

一番の理由は、時間があったことです。早期退職して福岡へ戻ったばかりで、まだ仕事はしていませんでした。

相続手続きは、役所も銀行も法務局も基本的に平日の日中しか動けません。

仕事をしていたら、何度も足を運ぶのはかなり大変だったと思います。無職で時間があったからこそ、自分でできた部分は大きいです。

費用を抑えたかったこと

費用を抑えたかったことも、大きな理由です。行政書士に全部お願いすると30万円ほど。

その金額を考えると、自分でできるならやってみたいと思いました。

とはいえ、完全に何も見ずにできたわけではありません。相続登記の進め方や必要書類については、相続手続きの流れを確認できるネットの支援サイトに登録して、確認しながら進めました。

豆知識 :私が利用したのは相続手続き支援サイトで、登録料は数万円でした。
行政書士に全部頼むよりは費用を抑えられましたが、サイトで流れや必要書類を確認しながら、実際の書類取得や提出はすべて自分で行う必要があります。
私にはこのやり方が合っていたと感じています。

もちろん、専門家に頼む費用には意味があります。手間を減らせますし、書類の不備も防ぎやすくなり、分からないことをすぐに相談できます。

時間がない人や相続内容が複雑な人、遠方に住んでいる人には、大きな助けになると思います。

でも私の場合は、時間があり、家族関係も良好で、実家住まい、財産も極端に複雑ではありませんでした。

それなら、費用を抑えるために自分でやってみようと考えました。

ただ、自分でやったからといって、費用がまったくゼロになるわけではありません。

専門家報酬は抑えられても、戸籍謄本や住民票、印鑑証明、登記事項証明書、登録免許税などの実費は、自分でやっても必ずかかります。

私が集めた情報をもとに、主な相続手続きの期限と実費の目安を整理してみたので、参考までに載せておきますね。

自力でも費用ゼロにはならない:証明書代や登録免許税などの実費は必ず発生する

手続き項目 おおよその期限 自力で行う場合の実費の目安
死亡届の提出 死亡の事実を知った日から7日以内 届出自体は原則無料(死亡診断書等の発行費用は別)
相続人の調査・確定 早めに(相続放棄を検討するなら3か月以内が目安) 戸籍・除籍謄本等で数千円〜数万円程度
相続放棄・限定承認 相続開始を知った時から3か月以内 収入印紙800円+郵便切手代など
準確定申告 相続開始を知った日の翌日から4か月以内 数千円程度〜(自分で行う場合)
相続税の申告・納付 相続開始を知った日の翌日から10か月以内 基礎控除超の場合のみ必要。数千円〜数万円程度
不動産の相続登記 取得を知った日から3年以内 登録免許税(原則評価額の0.4%)+証明書取得費用
住所等変更登記 変更日から2年以内 登録免許税+証明書取得費用

こうして並べてみると、削減できるのは主に専門家への報酬の部分で、税金や証明書の取得費用まではゼロにはならないんですよね。

それでも、私の場合は30万円という報酬部分を丸ごと節約できたので、自分でやる価値は十分あったと感じています。

数値はあくまで一般的な目安なので、正確な金額は役所や法務局、税理士などにご確認くださいね。

行政書士の資格が心理的なハードルを下げてくれたこと

私は行政書士の勉強をしていて、資格も持っていました。

ただし実務経験はありません。資格があるからといって、相続手続きが簡単にできるわけではありませんでした。

それでも、戸籍、相続人、遺産分割協議書、不動産登記といった言葉に一度も触れたことがない人よりは、心理的なハードルは低かったと思います。

勉強にもなると思い、実際にやってみると、試験勉強と実務手続きはまったく別物でした。

でも、自分で動いたことで相続手続きの流れがかなり勉強になったのは事実です。

比較する視点 自分で手続きする場合 専門家(行政書士など)に依頼する場合
費用 登録料や書類取得費のみで抑えやすい 数十万円程度かかることが多い
時間・手間 役所や銀行に何度も足を運ぶ必要あり 自分で動く手間が大きく減る
必要な条件 時間の余裕、家族の協力、平日に動ける環境 特になし(費用さえ確保できればよい)
安心感 不備があれば自分でやり直しが必要 書類の不備を防ぎやすく相談もできる

あくまで私の体験にもとづく目安ですが、こうして並べてみると、どちらが自分に合っているかを考えるヒントになるかなと思います。

金額や必要書類は状況によって変わるので、詳しくは法務局や税理士、行政書士などの専門機関に確認してみてくださいね。

実際に自分で進めた相続手続きの中身

ここからは、私が実際にどんな手続きを自分で行ったのか、具体的にお伝えしていきますね。

戸籍集め・住民票・印鑑証明の取得

まず大変だったのが、戸籍集めです。相続では、亡くなった人の戸籍を集めて相続人を確認する必要があります。

これが思ったより手間でした。戸籍は1通取れば終わりというものではなく、必要な範囲を確認しながら役所で取得していきます。

住民票や印鑑証明も必要でした。母や妹にも協力してもらいながら集めました。

相続手続きでは書類がそろわないと先に進めないことがあるので、必要書類を一覧にしておくことが大事だと痛感しました。

特に手間だったのは、父の出生から死亡までのつながりが分かる戸籍を集める作業です。

本籍地が引っ越しのたびに変わっていることもあり、どこまで遡ればいいのか、最初はまったく見当がつきませんでした。

窓口で聞きながら、少しずつ必要な範囲を確認していく感じです。

1か所の役所で完結すればいいのですが、本籍地が別の市区町村にある場合は、郵送で請求する必要も出てきます。

この郵送のやり取りにも数日から数週間かかることがあるので、思っていたよりずっと時間がかかりました。

最大の難関1:終わりの見えない戸籍集め。亡くなった人の出生から死亡まですべての連続した戸籍が必要

豆知識 :2024年3月1日から、戸籍証明書等の広域交付制度というものが始まっているそうです。
これは、一定の戸籍・除籍証明書について、本籍地以外の市区町村窓口でもまとめて請求できるという制度で、私が手続きをしていた時期にはすでに始まっていました。
ただし、代理人による請求や郵送請求は対象外で、戸籍の附票なども対象外とのことなので、すべての戸籍がこれで完結するわけではありません。
窓口で「広域交付を使えますか」と聞いてみると、案内してもらえると思います。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書も自分で作成しました。

相続人が複数いる場合、誰が何を相続するのかを決めて、それを書面にする必要があります。私の場合は家族でもめていなかったので、話し合い自体は大きな問題なく進みました。

ただ、書類として仕上げるとなると話は別です。

書き方は合っているのか、必要な内容が入っているのか、押印はこれでいいのか。そうしたことを確認しながら進めたので、ここは少し神経を使いました。

不動産の記載は、住所ではなく登記簿上の地番や家屋番号で書く必要があるので、登記事項証明書を取り寄せて正確に転記しました。

ここを間違えると、あとで法務局の審査で差し戻されてしまう可能性もあると聞いていたので、慎重に確認しながら作成しました。

相続人全員の実印での押印と印鑑証明書の添付も必要で、母と妹に順番にお願いしていったのを覚えています。

戸籍の束を何度も銀行や法務局に出すのが面倒だという話も聞いていたので、法定相続情報証明制度というものも調べてみました。

これは、戸籍一式と法定相続情報一覧図を法務局に提出して登記官の確認を受けると、認証文付きの一覧図の写しを無料で発行してもらえる制度だそうです。

この一覧図があれば、戸籍の束の代わりに使える場面もあるとのことでした。

ただ、自分で一覧図を作る場合は、戸籍上の氏名と一覧図の氏名が一致しているか、旧字体を見落としていないか、様式が法務局の例に沿っているかなど、細かいところでの不備が起きやすいとも言われています。

不備があると補正や再提出が必要になり、かえって時間がかかることもあるので、活用するかどうかは、ご自身の状況に応じて判断したほうがいいかなと思います。

銀行・不動産・法務局・役所への対応

銀行手続き、不動産関係、法務局、役所関係も基本的にすべて自分で対応しました。

銀行は、名義人の死亡が分かると、相続手続きが終わるまで口座の入出金を止めてしまいます。

公共料金やクレジットカード、家賃、ローンの引き落としもできなくなるので、引き落とし口座の変更などは早めに済ませておいたほうがいいと感じました。

銀行によっては、まず簡単な申告書のようなものを提出して、そのあとで必要書類の案内が送られてくる、という二段階の流れになっているところもあるようです。

たとえばゆうちょ銀行では、下の表のような流れになると案内されています。

最大の難関2:厳格な銀行手続き。口座凍結と事前申告から書類提出までの流れ

手続きの段階 実務上の流れ
第1段階 相続確認表を提出し、亡くなった人と相続人の関係、取引内容、口座情報などを申告する
案内待ち 相続確認表の内容にもとづき、後日、必要書類の案内が送られてくる
第2段階 戸籍謄本、印鑑登録証明書、遺産分割協議書など、案内された必要書類を提出する
審査・払戻し 書類提出後、同一の貯金口座への入金なら1〜2週間、他行振込なら3〜4週間程度が目安

こういう二段階の流れがあることを知らずに窓口に行くと、書類が足りずに何度も通うことになりかねません。

金融機関ごとに流れが違うので、口座がある銀行には早めに問い合わせて、必要書類と流れを確認しておくことをおすすめします。

注意 :葬儀費用などですぐにお金が必要になり、口座が凍結される前にキャッシュカードで引き出してしまうケースもあるようですが、これはあまりおすすめできません。
他の相続人から使い込みを疑われて、話し合いがこじれる原因になりかねませんし、故人に借金があった場合には、相続財産を処分したとみなされて相続放棄ができなくなる可能性もあると聞きました。
どうしても資金が必要なときは、無断で引き出すのではなく、金融機関に相談したほうが安全です。
遺産分割が終わる前でも、一定の範囲であれば相続預金の払戻しを受けられる制度もあるようなので、窓口で相談してみてください。

やってみて一番大変だったこと(訪問回数まとめ)

実際にやってみて、一番大変だったのは戸籍集めと銀行手続きでした。

役所や銀行、法務局へ何度も足を運んだ回数もあわせてお伝えします。

戸籍集めの手間

戸籍は相続手続きの中でもとても重要です。

相続人を確認するために必要な戸籍をそろえなければいけませんが、どの戸籍が必要なのか、どこで取るのか、これで足りているのか、確認しながら進める必要があります。

戸籍が足りないと、銀行や法務局の手続きで止まってしまうこともあるので、戸籍集めは早めに始めたほうがいいと実感しました。

役所には約10回、法務局2回、年金事務所1回通った

相続手続きのために、私はいろいろな場所へ足を運びました。

ざっくりですが、確認も含めて役所には約10回、銀行には3回、法務局には2回、年金事務所には1回行きました。こうして数字にしてみると、結構動いていますよね。

実際の手間:市区町村役所約10回、銀行3回、法務局2回、年金事務所1回足を運びました

訪問先 おおよその回数 主な用件
市区町村役所 約10回 戸籍・住民票・印鑑証明の取得、各種確認
銀行 3回 相続届の提出、書類確認、口座解約手続き
法務局 2回 相続登記の相談・申請
年金事務所 1回 遺族年金等の手続き

相続手続きは、書類を集めて終わりではありません。提出先ごとに確認が必要で、不備があればまた動かなければいけません。

自分でやる場合は、この移動と確認の手間も含めて考える必要があると思います。

私の場合、役所の窓口は比較的親切に教えてくれた印象があります。ただ、担当者によって案内の詳しさに差があると感じることもありました。

同じ質問をしても、前回と違う説明をされることもあったので、大事な確認事項は自分でもメモを残しておき、次に行くときに照らし合わせるようにしていました。

こうした小さな工夫の積み重ねが、無駄な往復を減らすことにつながったと思います。

一番面倒だったのは銀行手続き(3回訪問)

私が一番面倒だと感じたのは、銀行手続きでした。銀行はお金に関わる手続きなので、当然慎重です。

必要書類も相続人の確認もあり、書類の内容もきちんと見られます。一度で終わらないこともありました。

注意 :「必要書類がそろってから行けばいい」と思っていても、実際には事前確認が必要なこともあります。
金融機関によって必要な書類や進め方が違うこともあるので、銀行手続きは早めに問い合わせておいたほうがいいと感じました。

自分でやってよかったこと、大変だったこと

ここまで大変だった部分を中心にお話ししてきましたが、良かった点ももちろんあります。振り返ってまとめてみますね。

費用を抑えられたこと

自分でやってよかったことの一番は、費用を抑えられたことです。

行政書士に全部頼むと30万円ほどと言われていましたが、私は手続き支援サイトの登録料約2万円弱を使いながら自分で進めました。

もちろん戸籍や住民票の取得費用、登録免許税など必要な費用はかかりますが、それでも専門家にすべて依頼するよりは費用を抑えられたと思います。

無職だった私にとって、この差は大きかったです。

手続きの流れが理解できたこと

自分でやったことで、戸籍を集める、相続人を確認する、遺産分割協議書を作る、銀行手続きをする、不動産の相続登記をする、役所や法務局で確認するという一連の流れを、実際に体験できました。

行政書士の資格を持っていても、自分の家族の相続をやってみると、また違う学びがあります。

試験勉強だけでは分からない実務の面倒さも分かりましたし、これは自分でやってよかった点だと思っています。

また、相続税申告が必要かどうかも自分で調べて確認しました。

相続税には基礎控除というものがあり、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を遺産総額が超えなければ、申告自体が不要になります(出典:国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」)。

うちの場合はこの基礎控除の範囲内に収まっていたので、相続税申告はしなくて済みました。

もし基礎控除を超えるような遺産総額の場合は、不動産の評価や、家族名義になっているけれど実質は故人の財産とみなされる「名義預金」の扱いなど、素人には判断が難しい部分も出てくるようなので、そのときは早めに税理士に相談したほうが安心だと思います。

時間はかかったが後悔はしていない

正直、時間はかかりました。役所、銀行、法務局、年金事務所と、それなりに動く必要があり、私は無職だったから動けましたが、仕事をしていたらかなり大変だったと思います。

遠方に住んでいたら、もっと難しかったはずです。

それでも、私は後悔していません。時間があり、家族が協力してくれて、手続きの流れを確認できるサイトも使えたからだと思います。

もし相続人が多かったり、家族でもめていたり、不動産が複数あったりしたら、専門家に頼んでいたと思いますが、私のケースでは自分でやってよかったです。

正直に言うと、途中で「これは専門家に頼んだほうが早いのでは」と思った瞬間も何度かありました。特に銀行手続きで書類を突き返されたときは、少しへこみました。

逆に、法務局への書類提出が1回で審査を通った時は非常に嬉しかったです。

ひとつずつ片付けていけば必ず終わりが来ます。

無職で時間がある今だからこそできることだと割り切って、腰を据えて取り組んだのがよかったのだと思います。

専門家に頼んだほうがいいケース、自分でできるかもしれないケース

実際にやってみて、専門家に頼んだほうがいいと思うケースと、自分でもできるかもしれないと思うケースが、それぞれ見えてきました。

専門家に頼んだほうが安心なケース

相続人が多い場合は、戸籍集めも連絡・確認も、遺産分割協議書への署名や押印を集める作業も大変になります。

家族でもめている場合は、感情的な対立があると書類以前の問題になるので、自分で進めるのは難しいと思います。

不動産が複数ある場合も、確認や登記関係の書類が増えます。

仕事で時間がない人、遠方に住んでいる人も、平日に何度も役所や法務局へ足を運ぶのは現実的に難しいかもしれません。

書類を見るだけで気が重くなるという人も、無理に自分でやる必要はないと思います。

不動産がらみで特に怖いなと思ったのが、「私道」や「共有持分」の登記漏れです。

固定資産税の納税通知書だけを見て相続登記をすると、前面道路や通路の共有持分が非課税・低額で載っていないために見落としてしまうことがあるそうです。

相続した直後は問題にならなくても、将来その不動産を売ろうとしたときに、道路の権利関係が整理されていないことが分かって、買主や金融機関から敬遠されてしまう、というケースもあると聞きました。

しかも、そのときにはすでに当時の相続人が亡くなっていたり、判断能力を失っていたりして、面識のない親族から実印をもらわないといけない、なんてことにもなりかねません。

うちは実家の土地だけだったので大きな心配はありませんでしたが、私道や複数の土地が絡むケースでは、司法書士に事前確認してもらったほうが安全だと思います。

実家売却時に出てきやすい測量費や司法書士費用については、実家売却でかかった費用をまとめた記事でも詳しく書いています。

こういった場合は、それぞれの専門家の得意分野に合わせて相談したほうが安心です。

調べてみると、士業によって対応できる業務がはっきり分かれているようなので、簡単に整理してみました。

無理な場合は誰に頼む?弁護士、税理士、司法書士、行政書士など専門家の役割と使い分け

専門家 相談を検討したい状況 主な対応業務
司法書士 不動産がある、私道や共有持分がある、数次相続・代襲相続がある 相続登記、戸籍収集、法定相続情報一覧図の作成など
税理士 遺産総額が基礎控除を超える可能性がある、不動産や非上場株式がある 相続税申告、財産評価、特例の適用検討など
弁護士 相続人同士で揉めている、遺産の使い込み疑惑や遺留分の争いがある 交渉、調停・審判、遺留分侵害額請求など
行政書士 不動産登記や税務申告はないが、書類作成に時間が取れない 戸籍収集、相続関係説明図、遺産分割協議書の作成など

すべてを一人の専門家に丸投げする必要はなく、「戸籍収集と銀行手続きは自分で行い、不動産登記だけ司法書士に依頼する」というように、大変な部分だけを部分的にお願いするというやり方も現実的だと思います。

豆知識 :相続した土地が不要で、管理も売却も難しいという場合には、「相続土地国庫帰属制度」という選択肢もあるそうです。
一定の要件を満たせば、法務大臣の承認を受けて土地を国に引き取ってもらえる制度で、2023年4月27日から始まっています。
ただし、建物がある土地や境界が明らかでない土地などは対象外になることがあり、審査手数料や負担金の納付も必要になるとのことなので、「不要な土地だからとりあえず放置」ではなく、まずは相続登記で権利関係を整理したうえで検討する制度だと理解しています。

自分でできるかもしれないケース

逆に、相続人が少なく、家族関係が良好で、相続内容が複雑ではなく、時間があって役所や銀行に足を運べる。

こうした条件がそろっていれば、自分で進められる可能性はあります。

診断:あなたは自力でできる?相続人の人数や家族関係など5つの条件をチェック

チェックしたいポイント :相続人の人数は少ないか、相続人同士の関係は良好か、不動産は1件程度で私道などの複雑な権利関係がないか、遺産総額が基礎控除を明らかに下回っていて相続税申告が不要そうか、平日の日中に役所や銀行へ行ける時間はあるか。
この5つのうち、当てはまる項目が多いほど、自分で進めやすいケースだと思います。逆に、ひとつでも大きく崩れる項目があるなら、専門家への相談も選択肢に入れておくと安心です。

私は福岡の実家へ戻っていたので、役所や銀行、法務局に何度も行くことができました。

もし東京に住んだままだったら、かなり難しかったと思います。実家の近くに住んでいるかどうかも、大事な条件のひとつです。

それに加えて、手続きの流れを教えてくれるサイトや相談先があると、より安心して進められると思います。

自分で相続手続きをやる人に伝えたいこと

最後に、これから相続手続きを自分でやろうと考えているあなたに、私の経験から伝えたいことをまとめます。

最初に全体の流れと必要書類を確認する

何から始めるのか、どの書類が必要なのか、どこへ提出するのか。銀行、不動産、年金、役所関係はどう進めるのか。最初に全体像をつかんでおくと動きやすくなります。

私は手続き支援サイトを見ながら進めましたが、流れが分からないまま動くと、何度も同じ場所へ行くことになりやすいです。

相続手続きは、ただの事務作業というより、期限のあるプロジェクトのように管理したほうがいいと感じました。

死亡届は7日以内、相続放棄を考えるなら3か月以内、準確定申告は4か月以内、相続税申告が必要なら10か月以内、相続登記は3年以内、住所や氏名の変更登記は2年以内、というように、それぞれ期限が決まっています。

押さえておくべき絶対の期限:死亡届、相続放棄、準確定申告、相続税申告、相続登記のスケジュール

全部を細かく覚える必要はありませんが、大まかな期限感だけでも最初に頭に入れておくと、慌てずに動けると思います。

必要書類は一覧にしておくこともおすすめします。

頭の中だけで管理すると抜けが出やすいので、どこで取得するのか、誰の分が必要なのか、何通必要なのかを整理しておくと進めやすいです。

戸籍集めは早めに、銀行は事前確認を

戸籍集めは早めに始めたほうがいいです。銀行でも、不動産の相続登記でも、相続人を確認するためにも、戸籍が必要になる場面が多いです。

思ったより時間がかかることもあるので、特に遠方の役所から取り寄せる必要がある場合は、早めに動いたほうがいいと思います。

広域交付制度が使える範囲なら窓口の負担は減らせますが、代理人請求や郵送請求は対象外なので、結局は自分で動く場面も出てきます。

銀行手続きについても、事前に必要書類を確認しておくことをおすすめします。

金融機関によって進め方が異なることもあるので、行く前に一本電話を入れておくだけでも、無駄な訪問を減らせると思います。

無理だと感じたら専門家に頼む

自分で相続手続きをやることはできます。でも、誰にでも簡単にできるとは思いません。

時間がない、書類が苦手、家族でもめている、相続人が多い、不動産が複数ある、遠方に住んでいる。こうした場合は、無理せず専門家に相談したほうがいいです。

ほかにも、こんな状況に当てはまったら、早めに専門家へ相談したほうがいいサインだと思います。

戸籍を集めても相続人関係がよく分からない、面識のない相続人がいることが分かった、不動産に私道や共有持分がありそう、故人に借金や保証債務があるかもしれない、相続税がかかるかどうか微妙、書類の補正が続いている、精神的な負担が大きくなってきた。

ひとつでも当てはまったら、無理せず司法書士や税理士、弁護士などに相談することをおすすめします。

費用はかかりますが、時間と手間、不安を減らせるメリットがあります。

自分でやることが正解とは限らないので、自分の状況に合った方法を選ぶことが大事だと思います。

まとめ:父の相続手続きは自分でやれたが、時間と家族の協力が必要だった

私は父の相続手続きを、行政書士に全部頼まず自分で進めました。

相談したときは全部任せると30万円ほどと言われましたが、当時は無職で時間があり、費用も抑えたかったので、自分でやってみることにしました。

戸籍集め、住民票、印鑑証明、遺産分割協議書、銀行手続き、不動産関係、法務局、役所関係。手続き関係は基本的に自分で進め、相続登記の進め方や必要書類は手続き支援サイトを利用して確認しました。

一番大変だったのは戸籍集めと銀行手続きで、役所には確認も含めて約10回、銀行には3回、法務局には2回、年金事務所には1回足を運びました。

時間と手間はかかりましたが、母と妹が協力してくれて、家族でもめなかったからこそ最後まで進めることができました。

相続手続きを自分でやるなら、最初に全体の流れと期限を調べること、必要書類を一覧にすること、戸籍集めは早めに始めること、家族の協力を得ること、そして無理だと思ったら専門家に相談すること。

これらは、実際に父の相続手続きを自分でやって強く感じたことです。

相続手続きは、自分でできる場合もあります。でも、時間や家族の協力、書類への抵抗の少なさが必要です。

この記事が、相続手続きを自分でやるか迷っているあなたの参考になればうれしいです。

まとめ:時間と協力があれば、自力も可能。自分の状況を冷静に見極め、最適な選択を

※ご注意ください: この記事は、筆者自身の実体験に加え、2026年7月1日時点で調べた公的情報をもとに書いています。相続手続き、戸籍収集、遺産分割協議書、銀行手続き、不動産の相続登記、相続税申告、専門家に依頼する費用、各種制度の期限や免税措置などは、相続人の人数、財産内容、家族関係、地域、法改正の状況などによって異なります。
数値や費用感、期限はあくまで一般的な目安としてご参照ください。
特に相続登記や相続税、相続人同士のトラブルが関係する場合は、法務局、税務署、司法書士、行政書士、弁護士、税理士などの専門機関へ確認し、最終的な判断は専門家にご相談ください。
この記事を書いた人 えいじ 58歳で早期退職し、両親の介護をきっかけに東京から福岡の実家へ戻りました。
父母の看取り、単独相続、実家売却、マンション購入、フルリフォーム、失業手当受給、転職を経験。
このブログでは、元サラリーマンの実体験をもとに、50代後半からの人生整理を記録しています。
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