こんにちは。人生整理ノート管理人の「えいじ」です。
遺産分割協議書を自分で作成できるのかどうか、知恵袋などのQ&Aサイトで書き方や文例、ひな形を探しながら、体験談を探している方も多いのではないでしょうか。
専門家に依頼すると費用がかかりますし、行政書士や司法書士、税理士、弁護士のうち誰に相談すればいいのかも分かりにくいですよね。
テンプレートをダウンロードしても、自分の相続内容に合わせて書き直せるのか、法務局や銀行の手続きで本当に受理されるのか、記載に不備があって無効になってしまわないかと、不安になる気持ちもよく分かります。
私も父の相続手続きを進める中で、専門家には頼らず、遺産分割協議書を自分で作成しました。
2024年からは相続登記が義務化されたこともあり、実家と土地の名義変更をのんびり先延ばしにできない事情もありました。
ひな形をもとに、必要書類をそろえながら試行錯誤し、家族間でトラブルにならないよう注意点を確認しつつ進めた結果、銀行手続きと相続登記のどちらも一度で受理されました。
この記事では、遺産分割協議書を自分で作成した流れ、財産の分け方、作成時に気をつけたこと、専門家へ依頼したほうがよいケースなどを、私自身の体験をもとに紹介します。
相続手続き全体の流れや必要書類については、父の相続手続きを自分でやった体験談でも詳しくまとめています。
自分で作るか専門家に頼むか迷っているあなたにとって、ひとつの判断材料になればうれしいです。
☑ 記事のポイント
- 1遺産分割協議書を自分で作成できるケースとできないケースの違い
- 2私が実際に行った作成の流れとひな形の活用方法
- 3不動産や預貯金の分け方を決めるときに考えたこと
- 4銀行と法務局で一度で受理してもらうために気をつけたポイント
遺産分割協議書は自分で作成できるのか
まずは、そもそも遺産分割協議書を自分で作成できるのかどうかという、一番気になるところからお話しします。
結論からいうと、決まった書式があるわけではないので、相続人であれば自分で作成すること自体は可能です。
ただし、誰でも簡単にできるとは限らないというのが、私の実感でもあります。
私の場合は自分で作成できた
結論からいうと、私の場合は遺産分割協議書を自分で作成できました。 専門家には依頼せず、ひな形をダウンロードして、自分たちの相続内容に合わせてパソコンのWordで作成した形です。
あとから調べてみると、遺産分割協議書には全国共通の決まった書式があるわけではなく、手書きでもパソコンでも、相続人が自分で作成すること自体は認められているようでした。
専門家が作ったものと本人が作ったもので、法的な効力に差がつくわけでもないようです。
とはいえ、私は手書きよりパソコンを選んで正解だったと感じています。
不動産や口座の情報は数字が多く、手書きだと誤字や書き間違いが増えそうですし、修正もしやすいので、これから自分で作ろうと考えている方にはパソコンでの作成をおすすめしたいです。
実は私、以前に行政書士などの資格勉強をした経験があり、遺産分割協議書という書類の存在自体は前から知っていました。
とはいえ、資格の勉強と実務はやっぱり別物で、実際に相続を経験するのはこれが初めてです。
記憶だけを頼りに作成したわけではなく、手続き支援サイトや法務局の資料、インターネット上の記入例をひとつずつ確認しながら進めました。
結果的には、銀行と法務局のどちらでも一度で受理されましたが、すべての相続で同じように簡単にいくとは思っていません。
あくまで私のケースがたまたま条件に恵まれていたのかなと感じています。
自分で作成できたのは3つの条件がそろっていたから
振り返ってみると、私が自分で作成できたのは、次の3つの条件がそろっていたからだと思います。
- 相続人が3人と、比較的少人数だったこと
- 家族間でもめておらず、分け方にすぐ合意できたこと
- 財産の内容が実家の不動産と預貯金のみで、極端に複雑ではなかったこと
書類作成の知識があるかどうかも大事ですが、それ以上に相続人同士の関係や財産の複雑さのほうが、自分で作れるかどうかを左右すると感じました。
この点は、次の章でもう少し詳しくお伝えします。
また、うちのケースにはあてはまりませんでしたが、相続人の中に未成年者や、認知症などで判断能力が十分でない方がいる場合は、通常の流れだけでは進められないこともあるようです。
あとから調べてみると、こうしたケースでは家庭裁判所に代理人を選んでもらう手続きが必要になることがあり、必要な手続きを飛ばして作成した協議書は無効になるおそれもあるとのことでした。
自分たちの家族構成にこうした事情がある場合は、早めに専門家や家庭裁判所に確認しておいたほうが安心だと思います。
同じように、相続人の中に連絡が取れない人や、海外に住んでいる人がいるケースも、自分たちだけで進めるのは難しくなるようです。
海外在住で印鑑登録証明書を用意できない場合は、現地の日本大使館などで代わりの証明をもらう方法があるとも聞きました。
うちは相続人が3人とも国内の近い距離に住んでいたので、この点で困ることはありませんでしたが、遠方や海外に相続人がいる方は、早い段階で提出先や専門家に相談したほうがスムーズだと思います。
父の相続と家族構成
ここからは、私が実際に経験した父の相続について、家族構成と財産の内容をお話しします。
同じような状況の方には、参考にしていただきやすいかなと思います。
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遺言書がなく相続人は母・妹・私の3人
父が亡くなったのは、私が母の介護のため東京から福岡へ戻った直後の2024年6月でした。
父には遺言書がなく、相続人は父の妻である母、子どもである妹と私の3人です。
遺言書があれば、原則としてその内容にそって分けることになりますが、うちにはそれがなかったので、相続人全員で話し合って分け方を決める必要がありました。
これがいわゆる遺産分割協議で、その内容を書面にしたものが遺産分割協議書です。
主な財産は実家の土地建物と預貯金
父の主な財産は、父名義の実家と土地、それから預貯金でした。
財産の種類自体はそれほど多くなかったのですが、不動産があったため、誰が実家と土地を相続するかを決める必要がありましたし、預貯金についても母のこれからの生活を考えて分け方を決めなければなりませんでした。
株式や事業用の財産、複数の不動産といったものはなかったので、財産を洗い出す作業自体はそこまで大変ではなかったです。
この財産のシンプルさも、自分で作成できた理由のひとつだったのかなと思います。
財産を洗い出す際は、固定資産税の納税通知書や父の通帳、権利証などをひとつずつ確認しました。
あとから知ったのですが、固定資産税の納税通知書には非課税の土地や共有の不動産が載っていないこともあるそうなので、実家以外に父名義の土地がないかは、通帳の記録や過去の書類も見ながら念のため確認しました。
財産がプラスのものだけとは限らないので、借入金や未払いのものがないかも、あわせてチェックしておいたほうが安心だと思います。
遺産分割の内容をどう決めたか
財産の分け方を決めるとき、私が一番大事にしたのは、法定相続分どおりに機械的に分けることではなく、これから先の家族の生活でした。
ここでは、実際にどう分けたか、そしてなぜそう考えたかをお話しします。
実家と土地は私、預貯金は母が相続
家族で話し合った結果、実家と土地は私が相続し、父の預貯金は母が相続することにしました。この分け方は、私から提案したものです。
実家と土地については、今後の管理や相続登記などの手続きを私が引き受けることを考えて、私の名義にすることにしました。
一方の預貯金は、母のこれからの生活費や介護費用にあてられるよう、母が相続するのが自然だろうと考えました。
妹もこの分け方にすぐ納得してくれたので、財産の分け方でもめることはありませんでした。
一番に考えたのは母のこれからの生活
遺産をどう分けるか考えたとき、単純に3人で均等に分ければいいとは考えませんでした。
父が亡くなったあとも、母の生活は続いていきます。 当時の母は体が弱っていて、将来的には介護施設への入所も視野に入れる必要がありましたし、生活費だけでなく医療費や介護費用が必要になる可能性も十分ありました。
実際に、介護施設の費用と実家売却をどう考えたかについては、別の記事で詳しく振り返っています。
そのため、父の預貯金は母が相続するのがよいと考えました。
相続人がそれぞれ自分の取り分だけを主張するのではなく、これから一番お金を必要とするのは誰かという視点で話し合えたことが、うちの場合はうまくいった理由のひとつだと思っています。
うちは実家と土地は私、預貯金は母という形で、それぞれ別の財産をそのまま受け取る「現物分割」にあたるパターンでした。
共有名義は一見公平に見えても、将来の売却や次の相続のときに権利関係が複雑になりやすいと聞いたので、うちが共有にしなかったのはよかったのかなと今になって思います。
ひな形を使った作成の流れ
財産の分け方が決まったら、いよいよ遺産分割協議書の作成です。ここでは、私が実際に使ったひな形と、確認した資料についてお話しします。

手続き支援サイトのひな形をWordで活用した
遺産分割協議書は、すべて一から文章を考えて作ったわけではありません。父の相続手続きを進める際、私はITコンサルティング会社が提供していた手続き支援サイトに登録しました。
そのサイトに遺産分割協議書のひな形があったので、ダウンロードして利用させてもらいました。
ダウンロードしたファイルをWordで開き、父の氏名や死亡日、相続人、相続財産、財産を取得する人などを、自分たちの内容に合わせて入力していきました。
ひな形があったので、書類の形自体を一から考える必要はなく、白紙の状態から作るよりもかなり進めやすかったです。
法務局の資料や記入例もあわせて確認した
ひな形だけに頼らず、法務局の資料やインターネット上の記入例も確認しました。
ひな形があっても、相続する財産や相続人の状況は家庭ごとに違うので、見つけた書式をそのまま流用するのではなく、自分たちの相続内容に合っているかを一つひとつ確認することが大切だと感じました。

戸籍を集める作業も、想像していたより手間がかかりました。
父の出生から死亡までの戸籍をさかのぼって取る必要があり、本籍地が昔と違う場所だったこともあって、何度か市区町村に問い合わせました。
あとから知ったのですが、2024年3月からは戸籍証明書等の広域交付という制度が始まっていて、本籍地が離れていても、最寄りの窓口でまとめて請求できる場合があるそうです。
ただし本人が窓口に出向く必要があるなど条件もあるようなので、これから戸籍を集める方は、お住まいの市区町村に対象になるか確認してみるとよいかもしれません。
また、銀行や証券会社など提出先が複数ある場合は、法務局の「法定相続情報証明制度」を使うと、戸籍一式のかわりに一覧図の写しを提出できることがあるそうです。
うちは提出先が銀行と法務局の2か所だけだったので、そのつど戸籍一式のコピーを提出しましたが、提出先が多い方は検討してみる価値があると思います。
この義務化は2024年4月より前に発生した相続で登記が済んでいない不動産にもおよぶそうで、その場合は2027年3月31日までが目安の期限になるとのことでした。(出典:法務省「相続登記の申請義務化について」) あくまで一般的な制度の目安なので、詳しい要件やご自身のケースへの当てはめは、法務局や専門家にご確認ください。
不動産の記載と家族への説明
不動産が絡む相続では、記載の正確さと、相続人全員への説明がとても大事になります。ここでは、私が実際にどう確認し、どう説明したかをお伝えします。
登記事項証明書を見ながら正確に記載した
実家と土地については、法務局で登記事項証明書を取得しました。
その内容を見ながら、所在地、地番、家屋番号などを遺産分割協議書に記載していきました。 普段使っている住所と、登記上の不動産の表示が同じとは限らないので、登記事項証明書を確認しながら入力したことで、書き間違いを防ぎやすかったと思います。
不動産の相続登記で使う書類なので、ここは特に慎重に確認しました。

普段の郵便物などで使う住所は「住居表示」で、登記簿に載っている「地番」とは番号の振り方が違うことがあると、このとき初めて知りました。
土地は所在・地番・地目・地積、建物は所在・家屋番号・種類・構造・床面積といった項目を、登記事項証明書のとおりに書き写す形で記載しました。
住居表示だけで済ませてしまうと、法務局で対象物件を正確に特定できず、あとから補正を求められる可能性もあるようなので、面倒でも登記事項証明書は必ず取り寄せたほうがよいと思います。
作成する前は、難しい法律文書を作るような印象を持っていたのですが、ひな形と登記事項証明書がそろっていたおかげで、作成自体を特別難しいとは感じませんでした。
財産の分け方がすでに決まり、家族全員も同意していたことが大きかったのだと思います。
登記名義人本人やその相続人が法務局に請求すると、その人が名義人になっている不動産の一覧を証明書として取得できる制度とのことでした。
遠方に把握していない土地があるかもしれない、実家以外の不動産がないか不安、というときには、固定資産税納税通知書や名寄帳とあわせて、この制度も調査の選択肢になりそうです。
母と妹に内容を説明し納得してもらった
作成した書類は、母と妹にも見せて内容を説明しました。 実家と土地を私が相続すること、預貯金を母が相続すること、どのような手続きでこの協議書を使うのかといった点を、一つずつ確認してもらいました。
母と妹が内容を理解し、納得したうえで署名と押印をしてくれたので、そのあとの手続きも進めやすかったです。
書類を作る作業そのものより、相続人全員が内容に納得しているかどうかのほうが、私にとってはずっと大事なポイントでした。
実際に記載した項目
ここでは、実際に遺産分割協議書へどんな項目を書いたのか、もう少し具体的にお話しします。
ひな形があっても、何をどこまで書けばよいのか迷う方もいると思うので、私の場合の例として参考にしてもらえればと思います。
被相続人の情報は正確に書き写した
冒頭には「遺産分割協議書」という表題を記載し、続けて父の氏名、死亡日、最後の本籍、最後の住所などを書きました。
ここは戸籍謄本や住民票の除票を見ながら、一字一句ていねいに書き写した部分です。
普段の呼び名や住所の略し方とは違う表記になっていることもあるので、思い込みで書かず、必ず公的な書類のとおりに記載するよう気をつけました。
相続財産は誰が何をどれだけ相続するか明確にした
不動産については、登記事項証明書のとおりに所在地・地番・家屋番号・面積などを記載し、「この不動産は私が相続する」ということが誰から見てもはっきり分かるようにしました。
預貯金については、銀行名・支店名・口座の種類・口座番号を記載し、「この口座の預貯金はすべて母が相続する」という形で書きました。
誰が・どの財産を・どれだけ相続するのかがあいまいだと、後日あらためて話し合いが必要になったり、金融機関で受け付けてもらえなかったりすることもあるようなので、この部分は特に慎重に確認しました。
最後に「相続人全員の協議によって上記のとおり遺産分割が成立したことを証するため、本書を〇通作成し、各自1通ずつ保管する」という趣旨の一文を入れ、日付を記載したうえで、相続人全員の住所・氏名を自署し、実印を押して完成としました。
署名・押印から完成まで
書類の中身ができあがったら、次は相続人全員の署名と押印です。ここでは、実際に用意したものと、完成までにかかった期間をお話しします。
母・妹・私の3人で実印を押し印鑑証明書も用意した
完成した遺産分割協議書には、相続人である母、妹、私の3人が署名しました。
押印には、それぞれの実印を使い、あわせて印鑑証明書も用意しました。 署名や押印を集める際も、母と妹が協力してくれたので、特に問題はありませんでした。
家族が近くに住んでいて連絡も取りやすかったことは、自分で手続きを進めるうえでかなり助かったポイントです。
印鑑証明書については、提出先によって有効な期間が違うらしいと知り、少し慌てました。
あとから調べると、法務局に出す相続登記用の印鑑証明書は、作成後3か月を過ぎていても差し支えないケースがある一方、銀行では発行から6か月以内のものを求められることが多いようです。
先に印鑑証明書だけ集めてしまうと、銀行の手続きが後回しになったときに期限切れで取り直しになることもあるそうなので、うちは提出する直前のタイミングでまとめて取得するようにしました。
すでに他の相続人の署名・押印が終わっている場合は、法務局や金融機関に訂正の仕方を確認してから対応したほうがよいと思います。
また、将来の軽微な訂正のために「捨印」をあらかじめ押しておく方法もあるようですが、誰がどこまで訂正できるのかであとから揉める原因にもなり得ると聞いたので、うちでは捨印は押さず、必要になったらそのつど全員で確認する方針にしました。
複数部作成して保管・提出用に準備した
遺産分割協議書は1部だけではなく、複数部作成しました。相続人それぞれが保管できるようにしたほか、銀行や法務局への提出でも使うためです。
作成した各書類に、相続人全員が署名し実印を押しました。
必要な部数は、使う手続きや保管方法によって変わってくると思いますが、私の場合は、あとから不足しないよう最初から複数部用意しておきました。 こういう点も、パソコンで作成する強みでもあると思います。
書類が複数ページにわたる場合は、ページとページのつなぎ目に相続人全員で契印を押す必要があるとひな形の説明にあったので、そのとおりに対応しました。
契印がないと、あとからページを差し替えられていないことを証明しにくくなるそうなので、面倒でも省略しないほうがよいと感じました。

完成までにかかった期間は数週間
遺産分割協議書を作り始めてから、全員の署名と押印がそろうまでは数週間ほどかかりました。Wordで書類を作成する作業自体は、それほど長い時間はかかりません。
ただし、財産の内容を確認したり、登記事項証明書を取得したり、母と妹に説明して署名と押印をもらったりすることを含めると、それなりの日数が必要でした。
相続手続きは遺産分割協議書だけで終わるわけではなく、戸籍や印鑑証明書といったほかの書類も並行して集めていたので、協議書だけを急いで作るというより、相続手続き全体の流れの中で準備を進めていった感覚です。
銀行と法務局での提出結果
自分で作った書類が、実際の手続きで通用するのか。これが一番緊張したところでもあります。ここでは、銀行と法務局それぞれでの結果をお伝えします。

預貯金の相続手続きで一度で受理された
完成した遺産分割協議書は、父名義の銀行口座の相続手続きで使用しました。父の預貯金は母が相続する内容にしていたので、その合意を確認する書類として提出した形です。
銀行の相続手続きは必要書類が多く、私が父の相続で一番面倒に感じた手続きでした。 遺産分割協議書のほかに、父の出生から死亡までの戸籍謄本一式、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書なども求められ、窓口とのやり取りだけでも何度か往復した記憶があります。
遺産分割協議書に不備があって作り直しになるのではないかという不安もありましたが、修正や再提出を求められることなく、一度で受理されました。
不動産の相続登記でも修正なく受理された
遺産分割協議書は、実家と土地を私の名義に変更する相続登記でも使用しました。 不動産の内容は登記事項証明書を見ながら記載していたため、法務局でも修正を求められませんでした。
銀行と法務局の両方で一度で受理されたときは、正直ほっとしましたし、自分で作成した内容が本当に通用するのか不安だったぶん、問題なく手続きが進んだことでかなり安心できました。
その後、相続した実家を売却した際の手続きについては、実家売却の流れを実体験で解説した記事にまとめています。
自分で作成してみて感じたこと
ここからは、自分で遺産分割協議書を作成してみて感じた、メリットと正直な不安の両方をお話しします。
専門家への依頼費用を抑えられた
自分で作成してよかった一番の理由は、専門家へ依頼する費用を抑えられたことです。 父の相続手続きについて行政書士へ相談した際、すべて任せるとまとまった金額がかかると言われました。
遺産分割協議書だけの費用ではありませんが、相続手続きをまとめて依頼すると、それなりの負担になります。
私は当時、早期退職して無職だったこともあり、時間には余裕がありました。ひな形や資料を確認しながら自分で作成することで、費用を抑えられたのは大きかったです。
費用の感覚をつかむ目安として、自分で作成する場合と専門家に依頼する場合の一般的な違いを、簡単にまとめてみます。
| 項目 | 自分で作成する場合 | 専門家に依頼する場合 |
|---|---|---|
| 費用の目安 | ひな形代・書類の実費程度 | 数万円〜数十万円程度(内容による) |
| かかる時間 | 資料集めや確認に自分の時間が必要 | やり取りは必要だが手間は少なめ |
| 向いているケース | 相続人が少なく、財産もシンプルで円満な場合 | 財産が多い、もめている、複雑な場合 |
あくまで一般的な目安なので、実際の費用や必要な手続きは、財産の内容や依頼先によって変わってきます。
正確な情報は、依頼を検討する専門家や公式サイトでご確認いただくのが確実です。
行政書士へ相談したとき、専門家にもそれぞれ得意分野があると教えてもらいました。
相続人同士でもめている場合は弁護士、不動産の相続登記までまとめて頼みたいなら司法書士、相続人に争いがなく書類作成だけを頼みたいなら行政書士、相続税の申告や節税を相談したいなら税理士、というのがおおまかな役割分担のようです。
うちは相続人同士がもめておらず、不動産の名義変更も自分で法務局へ申請したので、結果的にどの専門家にも依頼せずに済みましたが、財産や家族構成によって頼るべき専門家が変わってくる、というのは知っておいて損はないと思います。
ちなみに、うちは父の財産が実家の土地建物と預貯金だけだったこともあり、相続税の申告は不要でした。
ただ、相続税の申告と納税には、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内という期限があるそうです。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されるとのことです。(出典:国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」)財産の総額がこれより多くなりそうな方は、遺産分割協議書の作成と並行して、早めに税理士へ相談したほうがよいかもしれません。
相続手続き全体の流れを理解できた
自分で作成したことで、遺産分割協議書が相続手続きの中でどう使われるのかも理解できました。
家族で財産の分け方を話し合い、合意した内容を協議書に記載し、相続人全員が署名して実印を押し、銀行や法務局の手続きで使う。
この一連の流れを実際に一つずつ経験したことで、資格試験の勉強だけでは分からなかった手続きの実感が見えてきた気がします。
受理されるまでは不安だった
書類の作成自体は難しいと感じませんでしたが、銀行や法務局で本当に受理されるかは、正直かなり不安でした。
文章の表現はこれでよいのか、不動産の記載に漏れはないか、署名や押印の方法は合っているか、必要な書類はそろっているか。
自分では問題ないと思っていても、提出先で不備を指摘される可能性はゼロではありません。
結果的には一度で受理されましたが、提出するまでは多少緊張しましたし、この不安な気持ちは、同じように自分で作成しようとしている方にも共感していただけるのではないかなと思います。
知恵袋の体験談との付き合い方
知恵袋のようなQ&Aサイトで情報を探すこと自体は、私も否定しません。ただ、使い方には少しコツがあると感じています。
体験談は参考になるが自分のケースと同じとは限らない
遺産分割協議書を自分で作成したいとき、知恵袋などのQ&Aサイトで調べること自体は悪くないと思います。
実際に作った人の体験談や、同じように悩んでいる人への回答は参考になります。
ただし、投稿者の家族構成や財産、遺言書の有無、相続人同士の関係は、自分のケースとは違います。回答者の内容が、自分の相続でもそのまま使えるとは限りません。
私は手続き支援サイトのひな形だけでなく、法務局の資料や記入例もあわせて確認しました。
知恵袋などは体験談を知るための参考にとどめ、実際に書類を作成するときは、公的機関の資料や提出先の案内もあわせて確認したほうが安心だと思います。
たとえば、ページのつなぎ目に押す「契印」と、複数の書類にまたがって押す「割印」を混同している説明を見かけたこともあります。
私自身も最初は違いがよく分かっていませんでしたが、法務局の資料で確認すると、目的も押す場所もまったく別のものでした。
用語ひとつでも情報源によって説明がぶれることがあるので、専門用語が出てきたときほど、公的な資料で確認しておくと安心だと感じました。
何より大切なのは家族全員の同意
書類の書き方を調べる前に、財産の分け方について相続人全員が納得しているかを確認することが、実は一番重要だと感じています。
私の場合は、母、妹、私の3人がすぐに合意できたので、書類の作成もスムーズでした。
逆に、家族の意見がまとまっていない状態では、どれだけ正しいひな形を使っても手続きは前に進みません。
誰が何を相続するのか、なぜその分け方にするのか、相続後の生活に問題はないか。まずは家族でしっかり話し合うことが、書類作成よりも先にやるべきことだと思います。
専門家へ相談したほうがよいと思うケース
ここまで自分で作成した体験をお話ししてきましたが、すべての方に自分での作成をおすすめするわけではありません。
次のようなケースは、専門家への相談を検討したほうがよいと思います。
相続人同士でもめている場合
相続人同士でもめている場合は、無理に自分だけで進めないほうがよいと思います。
私の場合は家族全員が同意していたため自分で作成できましたが、財産の分け方に納得していない人がいる場合や、相続人同士で連絡が取れない場合は、書類作成以前の問題があります。
感情的な対立がある場合は、状況に合った専門家へ早めに相談したほうが安心です。
話し合いだけではどうしてもまとまらないときは、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てる方法もあるそうです。
相続人全員の合意が前提の遺産分割協議は、多数決では決められないので、対立が長引きそうなときほど、早い段階で弁護士に間に入ってもらったほうが、結果的に負担が少なく済むのかなと思います。
財産や不動産が多い場合
財産の種類が多い場合も、自分で作成する難易度は上がると思います。不動産が複数ある、預貯金口座が多い、株式や事業用財産がある、財産の全体像がつかめない。
こうした場合は、協議書への記載漏れや手続き漏れが心配になります。私の父の財産は、主に実家と土地、預貯金だけだったので、比較的整理しやすい内容でした。
また、相続人の中にすでに亡くなっている方がいて、その方の子どもや配偶者がかわりに相続人になる「数次相続」や「代襲相続」が起きているケースもあるようです。
こうなると相続人の関係が一気に複雑になり、戸籍を集めるだけでも一苦労だと聞きました。
うちは父・母・妹・私というシンプルな関係だったので助かりましたが、世代をまたぐ相続では、早めに司法書士へ相談したほうが安全だと思います。
相続人が多い、または遠方にいる場合
相続人が多い場合や、全国各地に離れて暮らしている場合も、専門家へ相談する選択肢があります。全員に内容を説明し、署名や押印をそろえるだけでも時間がかかるものです。
私の場合は相続人が3人で家族関係も良好だったため、数週間でそろえることができましたが、相続人が多いほど、連絡や確認の負担も増えていくと思います。
あとから知ったのですが、一枚の書類を順番に郵送して回す代わりに、相続人ごとに「この内容で合意しました」という書面へ個別に署名・押印してもらう「遺産分割協議証明書」という方法もあるそうです。
相続人が多くて一枚の書類を回すのに時間がかかりそうな方や、一人が記載を間違えるたびに全員へ送り直すのが心配な方は、こうした方法も選択肢に入れて、提出先で使えるか確認してみるとよいかもしれません。
自分で作成する前に確認したいチェックリスト
私の体験から、自分で作成する前に確認しておきたいポイントを整理すると、次のようになります。
- 遺言書が残されていないか確認する
- 戸籍をたどって相続人を正しく確認する
- 未成年者や判断能力に不安がある相続人、行方不明者がいないか確認する
- 相続財産と借入金などの負債を一覧にする
- 財産の分け方について全員の同意を得る
- 信頼できるひな形や公的資料を確認する
- 不動産は住居表示ではなく登記事項証明書の記載で書く
- 預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで特定して書く
- 使用する手続きと必要部数、契印の要否を確認する
- 印鑑証明書は提出先の有効期限を確認してから取得する
- 相続登記の3年期限、相続税申告の10か月期限を意識する
- 少しでも複雑だと感じたら専門家へ相談する
私の場合は、このような点をひとつずつ確認しながら進めたことで、銀行と法務局のどちらでも一度で受理されました。
ただし、同じ方法ですべての人が問題なく手続きできるとは限りません。 自分のケースに合っているかどうかを確認しながら、無理のない範囲で進めていただければと思います。
まとめ:家族の合意と正確な財産情報があれば自分で作成できる場合もある
私は父の相続で、遺産分割協議書を自分で作成しました。手続き支援サイトからひな形をダウンロードし、Wordで父の相続内容に合わせて修正した形です。
父には遺言書がなく、相続人は母、妹、私の3人。実家と土地は私、預貯金は母が相続する内容にし、家族全員が同意しました。
不動産については、法務局で取得した登記事項証明書を確認し、所在地、地番、家屋番号などを記載しました。母、妹、私の3人が署名し、実印を押して、印鑑証明書も用意しました。
作成した協議書は、銀行口座の相続手続きと不動産の相続登記で使用し、一度で受理されました。
遺産分割協議書を自分で作成できるか不安なとき、知恵袋などの体験談は参考になりますが、相続の状況は家庭によって違います。
回答をそのまま信じるのではなく、法務局などの公的資料や提出先の案内もあわせて確認したほうが安心です。
あわせて、相続登記は不動産取得を知った日から3年以内、相続税の申告があれば10か月以内という期限があることや、印鑑証明書の有効期限が提出先によって違うことなど、細かいルールにも注意しておくと、あとになって慌てずに済むと思います。
そして何よりも大切なのは、相続人全員が財産の分け方に納得していることです。
家族でもめている、財産が多い、不動産が複数ある、相続人が多くて連絡が取りにくいなど、少しでも複雑な事情があると感じた場合は、無理をせず弁護士・司法書士・行政書士・税理士といった専門家へ相談することをおすすめします。
この記事が、遺産分割協議書を自分で作るか迷っているあなたの参考になればうれしいです。
記事内の数値や費用感はあくまで一般的な目安です。 実際に作成する際は法務局や金融機関などへ確認し、正確な情報は公式サイトをご確認のうえ、相続人間の対立や複雑な財産がある場合は、状況に合った専門家へご相談ください。
このブログでは、元サラリーマンの実体験をもとに、50代後半からの人生整理を記録しています。
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